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民泊経営と消防法-4


4 消防法の許可取得には、消防用設備の設置だけでなく防火対策も必要!


平成28年11月に発行された厚生労働省作成の「簡易宿所営業の許可取得の手引き」(民泊サービス向け)によれば、消防用設備の設置だけでなく、「出火防止、避難、通報などの防火安全対策が必要」とあります。


この内容の詳細については別途「民泊における防火安全対策」というリーフレットに詳述されており、インターネットから無償でPDFファイルを入手することが可能です。また、このリーフレットは英語版、中国語版、韓国語版も用意されていますから、ダウンロードして各言語の人々に見せてあげましょう。


ここに、このリーフレットで示される防火安全対策の呼びかけを一部ご案内します。


4-1.火気使用器具に対する注意喚起の仕方。


コンロなどの調理器具やストーブなどの暖房器具といった火気使用器具は、適切に扱わなければ火災にいたる危険性があります。備え付けの火気使用器具の特性を踏まえて、不適切な取り扱い事例や注意事項を具体的に示し、宿泊ゲストに注意喚起しましょう。民泊施設に火気使用器具を設置するときは、安全装置が搭載されたものにしましょう。


注意喚起事項の例。

(1)火気使用器具に燃えるものを近づけないこと。

(2)調理している間はその場を離れないこと。

(3)備え付けの鍋などの調理用品以外は使用しないこと。

(4)給油が必要な場合は緊急連絡先にご連絡ください。


※記事筆者の追記:日本の暖房機器は危険がいっぱい!

日本でよくみられる電熱線の電気ストーブや火がむき出しの石油ストーブは、海外ではほとんど見受けられません。特に欧米では、火や電熱線が露出しないセントラルヒーティング(パネルヒーター)が主流なのです。そのため、外国人にとって電気ストーブや石油ストーブは、「怖い!」と感じるうえに扱い慣れてもいないため、家主不在型民泊では特に、これらを置くのは危険!


また、エアコンに関してはそれなりに海外にもありますがあまり主流ではなく、日本の冬の乾燥した空気をさらに乾燥させてしまうため、火事はもちろんのこと風邪の危険性も。セントラルヒーティングは日本でも買えるため、民泊用の暖房器具としては、できればこれを導入しましょう。


4-2.喫煙ルールの徹底。


たばこの不始末により、火災にいたる危険性があります。喫煙の可否や喫煙時のルールなどを宿泊ゲストに具体的に示しましょう。寝具などは防火性能のある製品にして、たばこ火災のリスクを失くしましょう。


注意喚起事項の例。

(1)室内禁煙、ベランダ喫煙禁止です。

(2)ベッドでの喫煙は禁止です。

(3)灰皿は水の入ったものを使用してください。

(4)吸殻は貯めないでください。

(5)吸殻はゴミ箱には捨てず、所定の吸殻入れに捨ててください。


※記事筆者の追記:タバコは何かとトラブル多し。「全面禁煙」が良いかも?

タバコは、火事だけでなく近隣迷惑など様々なトラブルの要因となっています。特にマンションなど集合住宅の場合、迷惑をかけてしまう人もクレームを発してくる人も非常に多くなるため、タバコには細心の注意が必要!


一般的に、海外では日本よりも禁煙運動が進んでおり、「喫煙習慣があっても民泊中はガマンできる」という人は多いので、「全面禁煙」と告知しても良いかもしれません。


また、民泊施設内に禁煙の張り紙をする場合、文字で伝えるだけでなく絵柄のついたものでわかりやすく示すことがポイント。禁煙マークは、インターネットで「禁煙」とでも画像検索すればたくさん出てきますよ。


4-3 消火器などの設置場所と使用方法の説明。


火災が小さければ、消火器による初期消火が有効となります。宿泊前に、民泊利用者に対して消火器の場所と使用方法を理解できるように説明しましょう。また、屋内消火栓設備が設置されている場合はその使用法も説明してください。すぐに初期消火が行えるように、民泊施設に消火器などを設置しましょう。


4-4.避難経路図の掲示の仕方。


宿泊者が火災発生時に適切に行動できるように、避難経路図の掲示も大切な対策ですね。リーフレットでは下記のような指示をしています。


4-4-1.避難経路図の作成例。


建物の構造や避難経路がわからないことで宿泊者が火災から逃げ遅れることがないように、避難経路図を作成し、玄関ドアなどわかりやすい場所に掲示しましょう。また、消火設備や避難器具の設置場所も記入しましょう。


ポイント1.避難経路は2つ以上用意し、玄関からの避難が困難な場合における避難経路についても表記しましょう。


ポイント2.エレベーターは災害時に停止する場合があり、使用することは危険。災害時には使用されないように周知しましょう。


ポイント3.設置されている消火設備や避難器具などの場所を確認し、色分けや図などを使ってわかりやすく表記しましょう。


ポイント4.表記すべき防火設備は、消火器、消火栓、避難器具、避難経路、階段など。


4-4-2.避難方法の周知例。


火災時の熱や煙により自動火災報知設備の警報が鳴ることや、火災時における避難ルートと避難方法について、わかりやすく説明しましょう。


表示の例。

(1)感知器:火災時の煙や熱を感知して、大きな音で警報を鳴らします。

(2)避難階段:災害時の避難は、避難階段を利用しましょう。

(3)エレベーター:災害時にエレベーターは使用しないでください。

(4)バルコニー隔板:非常のときは、バルコニーの薄板を破って隣戸へと避難できます。(こうした仕様の隔板である場合のみ。)

(5)避難器具(避難ハッチ+避難はしご):下階の住戸バルコニーに避難できる避難器具があります。


4-5.119番通報の仕方。


日本人にとっては当たり前の119番通報も、外国人は知りません。これについても掲示して教えてあげたいですね。


必ず記載しておきたいこと。

(1)「火事の際は119番に通報する」ということ。電話のそばなどに貼っておきましょう。

(2)通報時に伝えるべきことはこの3つ。これらも紙に書いて掲示しておいてください。

1住所。

2建物名称・部屋番号。

3目標となる近隣の建物。



いかがでしたか?繰り返しになりますが、消防法の許可取得の条件は、自治体によって多少の違いがありますから、詳細はあなたの住む地域の消防局に確認をしましょう。




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