「普通に不動産賃貸に出すより3倍も儲かる!」などと言われているAirbnb(エアビーアンドビー)での部屋貸し。投機家のみならず、副業で参入しようか迷っているサラリーマンなども少なくないことでしょう。
しかし、一番気になるのは、民泊業界に参入することによって生じるリスクですよね。エアビーアンドビー事業にはどのようなリスクがあるのか?どの程度のものなのか?どうやったら防げるのか?
この記事では、エアビーアンドビー経営におけるリスクと問題点について、どこよりも詳しく解説していきたいと思います。
1 日々の運営や接客に関するリスクは?
まずは、事業者として業務を行う際に、日々直面するおそれのあるリスクについて、考えていきましょう。これらのリスクにしょげずに対処し続けていく自信やバイタリティがあるか?それを心に問いかけながら、読み進めてみてください。
1-1.掃除だけでは済まされない。マナー違反者の尻ぬぐいの数々。
民泊の管理などというのは、部屋やリビングを掃除してベッドのシーツを取り換えればそれで良いのだろうと想像している人が多いと思います。でも実際には、マナーの悪い客がおり、想定外の出来事に奔走させられることも多いのです!まずは、よく報告されているトラブル事例について書き出してみましょう。
①宿泊客が待ち合わせの時間に来ない。(連絡すらくれない。)
②恐ろしいほどにゴミが散乱している。
③エアコンやストーブが点けっぱなし。水道・ガスを垂れ流す。
④ポータブルWi-Fiなどの備品やカギを紛失されてしまう。
⑤予約人数より大勢の人が泊まっていた。
⑥宿泊客が大騒ぎし、近隣住民から苦情が入った。
1-1-①.宿泊客が待ち合わせの時間に来ない。(連絡すらくれない。)
民泊は普通の民家であることが多く、ホテルのように見つけやすくはありません。そのため、宿泊客を駅などわかりやすい場所に出迎えにいくことになるケースもあります。駅までの出迎えが不要でも、カギの受け渡しをするために玄関の前で宿泊客を待機していなければならないオーナーも多いです。
その際、やはり旅行先の土地に不慣れな宿泊客は、時間に遅れてくることが多いです。10分20分の遅れはざらと言えます。が、さらに深刻なのは、遅刻の連絡すらもらえないときがあることです!そうなると、来るかどうかもわからない人を何時間も待ち続けなければならなくなってしまうんですね。
飛行機の到着が1時間以上遅れることは少なくなく、さらに外国人は日本の街角で使える携帯電話(SIMカード)をまだ持ち合わせていないことが多いので、このような待ちぼうけは、決して少なくないのです。
「手間がかからない」と聞いて始めたAirbnb(エアビーアンドビー)なのに、思いのほか手間取ってしまうリスクがあります。出迎えやカギの受け渡しだけでも、2時間くらいは要すると計算しておいたほうが良いでしょう。
1-1-②.恐ろしいほどにゴミが散乱している。
チェックアウト後の清掃など、部屋のゴミ箱をカラにして掃除機を掛け、シーツを取り換える程度で済むと思っていませんか?
実情としては、はぎとったシーツを洗濯して干し、トイレやお風呂場、キッチンやリビングなども掃除し、消耗品の補充なども行わなくてはならず、1時間はくだらないでしょう。家を丸々一軒貸し出しているなら、2時間にも3時間にもなります。
さらに!マナーの悪い客に当たってしまった場合、まるでゴミ屋敷かと呆れるくらいに汚れたまま、帰られてしまうことがあるのです!
バブリーな層ほど豪快に汚し、また片付けをしない傾向にあります。たとえば爆買いをしたあとのたくさんの商品の箱や包み紙が、家中に散乱していたりすることも。たしかに、小さなゴミ箱には収まりきらないでしょうが…。また、お酒を好む層も、リビングやキッチンを派手に散らかし、さらに片付けもせず臭い匂いをまきちらして逃げていくことが多いです。
当然のことながら、片付けに要する時間は2倍にも3倍にも膨れ上がります。
1-1-③.エアコンやストーブが点けっぱなし。水道・ガスを垂れ流す。
あなたも経験が無いでしょうか?ホテルに泊まったとき、エアコンを掛けたままレジャーに繰り出したり、シャワーをじゃぶじゃぶと浴びたりしたことが。民泊もやはり、光熱費が追加請求されたりはしないため、節電など素知らぬ顔で、電気や水道を無用に垂れ流す迷惑な宿泊客がいます。
あなた自身の生活経験から、1か月の光熱費は20,000円程度かななどと予測(計算)していたものが、請求書を見ると30,000円にも50,000円にもなっていてビックリ!などということが起こりえるのです。
また、在宅仕事の長期滞在者なども、悪気は無いにせよパソコンなどを長時間点けっぱなしにすることがあり、月の電気代が20,000、30,000といった額に達してしまうことがありますね。
こうした金銭リスクはもちろん、オーナーがかぶらなければなりません。
1-1-④.ポータブルWi-Fiなどの備品やカギを紛失されてしまう。
公共Wi-Fiがまだあまり充実していない日本では、Airbnb(エアビーアンドビー)民泊のもてなしにおいて、ポータブルWi-Fiを用意し、しかも無料で貸し出すことが、ほとんど必須となってきています。
しかし、これは外に持ち出して使う類のものであるため、紛失の憂き目に遭うことが少なくないのです!カギなんかもそうですね。
一応、宿泊客が備品の紛失をした場合には、エアビーアンドビーが補償制度によって弁償してくれるようにはなっています。しかし、新品を購入するほどの金額までは戻ってこないことも多いうえ、次の宿泊客を受け入れるまでに用意しておくためには、事前にスペアを買っておかなければならなくなるのです。ポータブルWi-Fiのスペアを買い備えている人はほとんど居ないでしょうが、カギやバスタオルなどに関しては、紛失に備えて無用にたくさん買い備えているオーナーは、少なくないでしょう。
結局のところ、紛失や盗難の金銭リスクをオーナーがかぶっているようなものですね。
1-1-⑤.予約人数より大勢の人が泊まっていた。
予約の段階では「1人泊」と入力されており、チェックインのあいさつの際にも1人しかいなかったのに、チェックアウト後の清掃に行ってみると、複数人で大宴会をしたような形跡が!?おかしいなと思って聞き込みをしてみると、「5人は泊まっていたわよ」と隣人からの報告…。こうした、いわゆる「民泊サギ」が横行しています。
もっとタチが悪いのは、この主犯者(予約をしてきた人)が、他の宿泊客から宿泊料金をせしめているケースもあるということです!
あなた(オーナー)が5人分の宿泊料金を払わされるわけではありませんが、やはり損した感は否めません。また、宿泊人数が多ければ多いほど、騒音などのトラブルリスクは増しますね。さらに、片付けの手間が増えるのは当然のことです。
1-1-⑥.宿泊客が大騒ぎし、近隣住民から苦情が入った。
宿泊人数の申告虚偽がないとしても、多人数で滞在され夜中まで大騒ぎされると…それはトラブルの種となります。マンションであれ一軒家であれ、ホテルほど防音設備はしっかりしていませんから、近隣住民から苦情が入ることがあるのです。
苦情が訴訟問題にまで発展してしまうことがありますし、そこまでいかなくても民泊経営の差し止めを食らうことは少なくありません。急に民泊を畳まなくてはならなくなったとしても、不動産取得や家具家電の購入に注いだ先行投資金は、返ってはきません。ギャンブルと同じようなリスクを、背負うということです。