1-5. 1LDKの家主同居の物件だってある。
どれくらいゆるいか、具体例を出しましょう。
Airbnbに登録されている物件の中には、1LDKさえあるのです。まっさらな1LDKを賃貸して、家具家電を整えたという話ではありません。「人の住んでいる1LDK」です!
リビングにゲスト用のベッドを置き、それでもう、民泊施設としているのです!
ホストにもゲストにも、プライバシーというプライバシーが無いような状況ですが、こんなハチャメチャな物件でも、けっこう利用履歴があります。もちろん、高い値段は付けられません。こうした部屋なら、1,200円がいいところです。が、1,200円程度なら、利用してくれるゲストは存在するのです。
どうです?肩のチカラが抜けたでしょう?
本当に簡単で、誰にでも始められるほど敷居が低いのです。
ただし、嘘をつくのはいけません!あなたの物件がリビングに寝てもらうタイプの部屋なのであれば、その事実をハッキリと明記することが大事です。
ハッキリ明記してさえいれば、その条件を覚悟のうえでゲストが訪れますので、部屋の造りが原因でクレーム問題に発展することは、まずありません。宿泊後の感想レビューも、案外肯定的なコメントが並ぶでしょう。
2 民泊とは?
まずは、「民泊」というものについて、少しおさらいしましょう。
Airbnb(エアビーアンドビー)が世間をにぎわすまでは、民泊という言葉はあまり一般的で無かったと言えます。その定義をしっかり理解している人も、そう多くはないでしょう。
2-1. 民泊とは、もともとは、「民家に宿泊すること」を指す言葉。
元々の意味での民泊とは、「一般の民家に宿泊すること」を指します。親戚の家に泊まることも「民泊」ですし、恋人の家に泊まることも「民泊」です。
そこから、時流ととも少しずつ定義が広がっていき、「ホームステイ」と同じ意味で使われることも多くなりました。
ホームステイは、元々は、外国人を中長期的に家でお世話することを指します。
この言葉もまた変化を起こしており、外国では、民宿やペンションと同じような意味合いで使われることもあります。
転じて、「民泊」という言葉も現代日本では、「お金を払って家に泊まること」を主に指すようになっています。親戚の家の泊まるようなことに対して、「民泊」という言葉はあまり使われません。
日本において、「民泊」という言葉がよく使われるようになったのは、フリースクールや不登校児童が山村留学をするようになった頃でしょう。農業体験を兼ねて、田舎の民家が人を泊めるようになりました。利用者は、一般の大人や家族にも広がり、農家民泊はいまや、1つのレジャースタイルとして確立しています。
2-2. 「民泊」と「民宿」の違いは?旅館業法に則っているか否か。
民泊の話をしていてふと頭をよぎるのは、「民宿とどう違うの?」という疑問でしょう。
ここにも、明確な定義が存在しています。「民宿」は、簡易宿所の1つで、旅館業法に則って営業されている、宿泊施設です。都道府県の許可を取らなければなりませんし、然るべき設備を整えなければなりません。
それに対して「民泊」は、これまでは無許可でなんとなしに営業されてきました。つまり、法律違反なのです。しかし、黙認されてきました。先の農業民泊などは、NHKのドキュメンタリーや各局のニュース番組などでも、美談として、無数に取り上げられています。
2-3. 結局、無許可で良いの?国の基準とAirbnb(エアビーアンドビー)の基準。
では結局、無許可で民泊を運営して良いのでしょうか?
Airbnb(エアビーアンドビー)は、特に書類の提出などを求めていません。設備の規定もほとんどありません。ただし、規約の中に、「自治体や不動産管理者の許可を取るように」といった旨の警告はなされています。
現状、日本のAirbnbでは、登録物件のほとんどが無許可物件と言われています。
日本政府ならびに法律は、旅館業法の規定を満たさない宿泊施設の営業を、認めていません。
つまり、本来であれば、Airbnbならびにそこに登録された無数の民泊施設の数々は、法によって罰せられ、営業停止させられているはずなのですが、なぜか今でも、そうはなっていません。
日本は、2020年の東京オリンピックに向けて、「宿泊施設不足」という問題を抱えているのです。これを解消するために、民泊という概念はとても手軽なので、民泊は咎められるどころか、むしろ政府から後ろ盾を得ようとしています。旅館業法の方を変えてまでして、民泊施設は容認されようとしているのです。
ごくまれにですが、営業停止をさせられているお部屋もあります。
それは、実際にトラブルが発生し、近隣住民から通報されているお部屋です。通報によって、警察や自治体に違法営業であることが知られてしまい、停止命令を受けるのです。
2-4. 民泊の規制緩和は進んでいる。
全国に先駆けて、東京都大田区や大阪市などが、規制緩和の特区に指定されています。
他の地域よりも緩い条件で、民泊施設を運営することができます。
その一方で、長野県の軽井沢などは、民泊を許可しない条例を制定しています。軽井沢の場合、すでに存在している民宿やペンションを、守るためですね。
民泊の条例や規定については、地域によって異なり、また目まぐるしく変化しているので、この記事の中で具体的に取り上げることは控えます。