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民泊がもたらした経済効果から、不動産投資としての価値を探る-3


3 Airbnb(エアビーアンドビー)はまだまだ、日本経済にムーヴメントを起こし続ける。


「民泊がもたらした経済効果」について、その言葉どおりの内容を知りたいだけであれば、トピック2-3までをお読みいただければ充分です。

ここから先は、「経済効果」というものをもっともっと掘り下げて論述していきます。

ある意味ではここからが、当民泊サイトの真骨頂です。


3-1.Airbnb(エアビーアンドビー)がもたらした、意外な変化。


「経済効果」という言葉の解釈を、少々広げましょう。

「経済的な影響」といった言葉のほうがふさわしいでしょうが、それであれば他にもあります。

これは、どこでも話題になっていませんが、Airbnb(エアビーアンドビー)の特色そして影響として、「宿泊施設の値段(相場)を引き下げた」というものがあります。

経済成長後の日本において、「個室が1,500円で泊まれる宿」など、これまで存在したでしょうか!?

これまでの宿泊施設は、どうしても利益確保のために、それなりの値段を付けなければなりませんでした。その額が、個室なら最低でも3,500円ほどだったでしょう。安いと言われる沖縄のゲストハウスでも、個室ならやはり、それくらいはします。

しかしAirbnbは、「住んでいる家をついでに貸す」という軽いノリでの参入が可能で、かつ近隣物件との客取り合戦に勝つために、個室でさえも1,500円程度の破格値を付けている宿があるのです。信じられますか?個室で1,500円です!物価と需要の低い田舎の話ではなく、東京都心においても、です。

Airbnbは、設定可能な価格の下限を10ドル(=約1100円)としていているのですが、もしその規制が無かったなら、価格競争は数百円まで下がっていたと思われます。個室の宿泊料金が、ですよ?

「住んでいる家を間貸しする」「経費はAirbnbに払う数パーセントで済む」という手軽さが、宿泊施設の価格相場を、瞬く間に破壊してしまったのです。

当然、近隣の民泊物件は、それに対抗して値下げしなくてはならなくなります。この波は、Airbnbの民泊物件だけでなく、ゲストハウスやホテルにも及んでくるでしょう。


3-2.不動産業界が煽りを受け始めた。


現状ではまだ、ゲストハウスやホテルの価格に影響が出た気配は薄いです。

が、同業他社を飛び越えて、「親戚業界」には、影響が出始めています。

それは、不動産業界です。


繰り返しますが、今やAirbnbで物色すれば、1泊2,000円以内で個室を見つけられます。すると、1ヶ月丸まる借りたとしても、5万円程度で済んでしまうこともあるのです(1泊2,000円でも、月額割引きをして5万円程度まで下がる物件があります)。

家具家電が付き、リビングやキッチンの掃除をしてもらえて、Wi-Fiが使え、新聞やマンガまで読ませてもらえて、5万円です。

つまり、つい数年前に台頭してきたばかりの新参不動産業態・シェアハウスまでもが、パイを食われはじめてるいるのです。

今やもう、月額9万も10万もするマンスリーマンションなどというものは、誰も見向きもしません。マンスリーマンションよりも多設備多サービスなのに、その半額近い値段で、民泊が台頭したのですから。

シェアハウスにせよマンスリーマンションにせよ、かなり大規模な先行投資が必要で、それをなんとしても回収しなければなりませんから、民泊の価格破壊にはついてはいけないでしょう。

息子が上京して部屋の余っている老夫婦などは、月額2万で部屋貸ししたところで、赤字にはならないのです。


3-3.大手が参入しはじめ、中小の投機ホストは淘汰される。


しかし、「Airbnbは儲かる」という誤報に釣られて、さらに新しい動きが起きはじめています。

それは、「大手不動産企業のAirbnbへの参入」です。

大東建設、京王電鉄、アパマンハウスといった名だたる企業が、Airbnb業界への参入を表明しています。

家具も家電も掃除も付かないのにワンルームを6万で(しかも敷金礼金を30万円も取って)経営していた従来の不動産業界は、JALやANAがLCC(格安航空会社)に苦杯を舐めたのと同じように、「これまでは高すぎた!」という事実を暴かれ、顧客を奪われ、立場をせばめています。

そこで既存の大手企業がどうしたかと言えば、その新敵に対抗するのは諦めて、自らも、同じ業態に鞍替え(民泊業界に参入)しはじめたのです。


アパマンハウスなどの大手企業が進出すると、どうなるでしょうか?

この先の展開を予測してみましょう。

やはり、経営の効率化という点では、大企業に分があります。彼らはおそらく、マンションやアパート、場合によってはビルを丸ごと、Airbnb物件に仕立てるでしょう。

これらは、いわゆる「家主非同居型」の物件となります。これまで、小規模の投資系ホストが運営していた分野です。この小規模の投資系ホストたちは、商店街の豆腐屋が大型スーパーに潰されるかのごとく、大手企業の巨大物件に淘汰されていくでしょう。


家主非同居型のホストたちには、さらに苛烈な嵐が吹き荒れます。

日本政府はすでに、なにかとトラブルの多発する家主非同居型の民泊を、厳しく規制する方針を表明しています。営業許可を得るためのハードルは高くなり、一軒家やマンションを1室2室借りている程度の小規模投資型ホストたちは規定をクリアできず、営業停止を命ぜられるでしょう。

まだ先行投資金の回収も済んでいないでしょうが、それでも撤退を余儀なくされそうです。


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