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民泊経営が可能な物件と建築基準法-3


2 「用途変更」をするには、物件を建築基準法に適合させる必要がある。


建築基準法に基づく「用途変更」および「確認申請」という作業は、書類を提出すれば済むものではありません。当該の物件が「ホテル・旅館」(この場合は民泊)の運営に適したものになるように、リフォームを行う必要が出てくるでしょう。


2-1.こんなにたくさん!建築基準法が求める民泊としての建物環境。


簡易宿所(民泊版)と建築基準法が求める物件の設備は、下記のとおりです。


(1)民泊の用途に使用される部分の延べ床面積が200㎡以上のフロアにおける廊下の幅は、両側が居室である場合1.6m、片側だけが居室である場合1.2mであること。(※一般的なマンション・一戸建ての廊下の幅は90cm程度。)


(2)3階以上または2階フロアのうち民泊用途に使用される部分の合計面積が300㎡以上の場合、耐火加工をすること。

(※リネン室や従業員室も「ホテル・旅館」用途に該当するため、同様の加工が必要。)


(3)主要構造物が準耐火物構造であるか不燃材料の場合は宿泊室200㎡超のフロアに、その他の場合は宿泊室100㎡超のフロアに、2つ以上の直通階段を設置すること。


(4)主要構造物が準耐火物であるか不燃材料の場合は、居室から直通階段までの距離が50m以下、その他の場合は30m以下とすること。


(5)防火上主要な間仕切り壁は準耐火構造とし、小屋裏または天井裏にまで達するようにすること。


(6)民泊の用途に使用される延べ床面積が200㎡以上の場合は、居室および避難経路の内装仕上げを難燃剤などにすること。


(7)居室および避難経路(廊下、階段など)に、非常用の照明装置を設置すること。ただし、屋外への出口までの歩行距離が30m以下の場合、非常用照明装置は必要ない。


(8)5階以上のフロアには避難階段を設置すること。


(9)民泊施設の延べ床面積が500㎡超の場合、排煙設備を設置すること。

※排煙設備に関しては、消防法上の基準も満たしておかなければならない。


※ここでの「居室」とは、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用される部屋のことを指す。

※ここでの「主要構造部」とは、壁、床、柱、はり、屋根および階段を指し、建築物の構造上重要ではない間仕切り壁、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、間柱、付け柱、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段、その他これらに類する建築物の部分を除くものを指す。


2-2.民泊(簡易宿所)の許可を受けるための、建築上の注意点。


他にもまだ、守らなければならない建築上の注意点が!


(1)路地状部分のみで道路に接している敷地の建物は、「ホテル・旅館」への用途変更はできない。

(2)当該の建物が建築基準法の規定に適合していない場合、違法部分を解消したうえで、用途変更(確認申請)を行う必要がある。

(3)火気使用がある場合は、換気設備の設置をしなければならない。

(4)民泊施設には、敷地内通路(建物の出口から道などに通じる幅1.5m以上の通路)を確保しなければならない。

(5)窓のない居室は、区画する壁などを耐火構造または不燃材料にしなければならない。

※ゲストルームだけでなく、休憩室や厨房なども「客室」に含まれるので注意!

(6)その他、当該物件の床面積などによって、内装制限などが必要になる場合もある。

(7)大規模修繕、増改築、模様替えを伴う場合は、接道規定や構造規定にも適合させる必要がある。

(8)リフォームだけを行う場合でも、建築基準法に基づく諸々の手続きが必要となる場合がある。


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