すっかり話題になっているAirbnb(エアビーアンドビー)などの民泊。「私の自宅マンションの空き部屋も、有効活用できないかしら!?」と気になっている方も多いことでしょう。
インターネットで検索してみると、「手軽にカンタン、高収入!」「不動産を持っているなら、普通に貸すより3倍は儲かる!」などと美味しそうな文字が躍っているけれど…実際のところはどうなんでしょう?
民泊の運営というのは、ある種の人々にとっては日常生活の延長線上のようなもので、カンタンです。しかしケースによっては非常に険しい道のりとなりますよ!このページでは、民泊やAirbnbの運営がどのような人に向いているかについて、わかりすく・詳しくご案内していきます。
まず最初に知っていただきたいことがあるのですが、それはこのサイトの特性です。Airbnbの経営について語るサイトのほとんどは、民泊起業セミナーや民泊代行業を売り込もうとする商売サイトなのです。しかし当サイトは、非営利目的の日本ホストファミリー養成協会が運営しています。セミナーや代行業務を売りつけるサイトではないということで、ですから私たちは、公正な目線から意見を発することができるのです。
1 【注意!】「儲かる!」に誘惑されたなら、民泊経営はやらないほうがいい!
「Airbnb(エアビーアンドビー)は儲かる!」というメディアのニュースや記事に誘惑
されて民泊経営を検討されているということであれば、やらないほうが良いです。民泊はそう儲かる事業ではありませんし、投機的(お金儲け目的)な民泊はリスクが多すぎます。まったくと言ってよいほど、オススメできません。
1-1.【収益試算】ホームステイ型の場合、月収は50,000円程度。
現実的な収益試算を出してみましょう。「ホームステイ型民泊」とは、あなたの住んでいる一軒家やマンションなどの空き部屋に、宿泊ゲストを泊めることを指します。あなたは宿泊ゲストと同居するということですね。
この場合、日本国内での相場は1人1泊3,000円弱といったところ。100パーセント近い稼働率をキープしたいなら1泊2,000円くらいの値付けが目安です。すると2,000円×30日=60,000円。70~80パーセントの稼働率で月収50,000円前後といった感じになります。これが、現在の日本のAirbnb(エアビーアンドビー)市場における、現実的な(平均的な)実情収益です。
もちろん、2人泊が多かったり稼働率がフルになったりすれば、80,000~90,000円に達する月もあるでしょう。しかし、2月や6月など閑散期には、逆に30,000円の収益にも届かないことがあるので、それも覚悟しておかなければ(計算しておかなければ)なりませんね。するとやはり、平均としては月額50,000円程度と考えるのが妥当なところです。
そこからさらに、収益の10パーセントほどをAirbnbに手数料として徴収されます。ホームステイ型民泊の場合、家賃が余計にかかったりはしませんから、維持費はそう多くなく、民泊ゲストからの収益の80パーセント程度は、あなたの収入と考えて良いですね。
1-2.月収50,000円は、時給に換算するといくらくらいになる?
まずそもそも、月収50,000円という額自体が、ビジネスとしてそうメリットの大きなものとは言えないでしょう。(収益以外のメリットがあるので、民泊運営を否定するつもりはありません。金銭以外のメリットについてはトピック≪自宅の空き部屋で民泊運営。メリットはこんなにたくさん!≫にて詳述します。)その月収50,000円を、効率面から考察してみると…?
1-2-1.自宅民泊は不動産業ではなく接客業。やることはいろいろある!
その50,000円という額が、何もしなくても入ってくるものなのであれば旨みが大きいと言えなくもないですが、民泊は不動産業ではなく接客業です。やることは日々、それなりにあるのですよ。
民泊を営むなら、「やることはいろいろある」と理解したうえでないと、「何もしなくていい」と思い込んで開始するなら、痛い思いをしてしまうでしょう…。
1-2-2.予約問い合わせへの対応は、通常のホテル検索サイトよりも大変!
まずは予約問い合わせへの対応です。Airbnb(エアビーアンドビー)の場合、普通のホテル検索サイトとは異なり、宿泊ゲストの予約が確定するまでに(確定してからも)数通程度のメール(Airbnb内メッセージ)のやり取りが重ねられます。「横浜アリーナからは近いですか?」「空港着が夜10時なんですが、それから伺ってもよろしいですか?」といった質問が、たいていどの利用者からも投げかけられ、それに応じる必要があります。
1-2-3.24時間体制で待機し続けるようなもの。英語力だって求められる。
これはもちろん、「そのうち返せばいいや」という悠長なものではありません!問い合わせゲストへの気遣いや、予約率を上げるためには、最低でも24時間以内に、基本的には受信して1時間以内には返信するのがセオリーです。
それだけでも大変ですが、さらに相手は外国人であることが多いため、英語で返さなければなりません。(英語のメールを解読しなければなりません。)
そして外国人ということは、時差があるのです!夜中の0時だろうが明け方5時だろうが、向こうは向こうのペースで問い合わせのメールを送ってきます!つまり、「待機」という行為を業務の範疇に入れるなら、およそ24時間、Airbnb(エアビーアンドビー)の業務に従事しているような恰好になりましょうか…。
1-2-4.ゲスト来客後は、ホテルのコンシェルジュのようにマルチに対応。
業務は予約への対応だけではありません!もちろん、泊まりに来てくれた民泊ゲストへの対応も、大切な業務となりますからね。
チェックインの際の身分確認や施設案内(客室の場所や風呂場の使い方など)は10分もかからず終わるでしょうが、それ以外にもちょくちょくと、民泊ゲストの声に耳を傾ける必要があります。「今から横浜アリーナに向かいたいんだけど、バスの時間を調べてくれますか?」「マンションの近くにスーパーはありますか?」「洗濯物を干して出かけるので雨が降ったら取り込んでもらえますか?」などなど、様々な質問やお願いを受けるでしょう。ベッドメイクのみならず、ホテルのコンシェルジュと同じようなことも、ホストファミリーはやらなければならないのです。
また、「日本の文化について語り合いたいです」といった要望も多く、2時間も3時間もトークに付き合うことがあります。
1-2-5.時給に換算するなら、200円そこらになってしまうかも…?
長期滞在者の場合、かかる手間はだんだん減ってきますが、1週間程度の短期宿泊ゲストの場合、「1日に2時間くらいはゲストのために時間を費やすことになる」と思っておいたほうが良いでしょう。また、他人を自宅に招き入れることに慣れていない(好いていない)人にとっては、特に何の対応もしていなくても、「ただゲストが自宅のどこかに滞在している」という事実だけで、労働中のようなストレスや疲労感を、覚えてしまうかもしれません。
つまり、民泊運営というものを時給に換算するなら、時給200円くらいな青ざめるものになると言えます…。
では、民泊運営などデメリットだけで無価値なのでしょうか?損なのでしょうか?そんなことはありません!
1-3.ゲストとの交流を楽しめる人なら、「低賃金」とは感じない!
時給換算で200円ともなると、一見するとブラック企業の極みのような収益/業務のバランスですが、しかし、日本だけでもAirbnb(エアビーアンドビー)に登録しているホストは30,000人(軒)以上もおり、世界を見渡せば200万人(軒)にも達しています!そのすべてがホームステイ型というわけではないですが、海外では日本に比べてホームステイ型民泊がとても多いです。つまり、非常に多くの人たちが、民泊ホストとしての生活を、大した悲壮感も持たずに続けています。
なぜなのでしょう?
それは、ホームステイ型民泊を営むことに、金銭収益以外の喜び・メリットを感じているからです!この点についても後ほど解説しますが、とにかくまずは最低限の前提として、民泊ゲストとの交流や「洗濯物を取り込んでおいてほしい」といったお願いに対して、苦痛を感じない人たちがいるのです。彼らは見知らぬ旅行者と交流することを楽しいと感じ、
見知らぬ旅行者に手助けすることを楽しいと感じています。
簡単に言えば、自宅の空き部屋で民泊を営むのに向いている人とは、そのような「交流好きな人たち」「もてなし好きな人たち」です。彼らにとっては、「時給200円で働かされている」というよりも、「新しい友人をもてなして遊んでいたら、お小遣いまでもらえてしまった!ラッキー!」といった感覚なのですね。事業というよりも、趣味なのです。