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CANONキヤノンカメラはなぜ強いのか?(一眼レフ・デジカメ)


おそらく、あまりカメラに興味のない人でもご存じであることでしょう。昨今日本のカメラ市場において、CANONキヤノンは圧倒的なシェア率を誇ります。「CANONキヤノンとNikonニコンの2トップ」と表現されることも多いですが、しかし一眼レフカメラ市場においてはそのNikonニコンに「2倍」もの圧倒的な差を付けて、CANONキヤノンはトップを走っているのです。


なぜCANONキヤノンは、こんなにも強いのでしょうか?CANONキヤノンはどのようなカメラを作っていて、どのような販売戦略をとっているのでしょうか?


このぺージでは、CANONキヤノンのシェア率の高さの秘密を徹底分析していきます。しかし、CANONキヤノン以外のメーカーのファンの方もぜひ、読んでみてください。



1.CANONキヤノンは実際、どれくらい強い?

IT業界紙を発行するBCNは、カメラの実売数に基づいて集計を出し、毎年「BCN AWARD」と銘打ってシェア率トップ3の企業を発表しています。

このBCN AWARDにおいてCANONキヤノンは、特に一眼レフカメラ部門で圧倒的な数値をたたき出しています!(注 下記表はAWARDの受賞年数ではなく、シェア率の年数を表記しています。)


一眼レフカメラ、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジカメ各ジャンルについて、ここ数年のシェア率の動向をまずは細かく見ていきましょう。


CANONキヤノンのシェア率トップはもはや当たり前!2016年はついに2位にダブルスコア達成!

まずは、カメラの代名詞とも言える一眼レフカメラ市場のシェア率と、CANONキヤノンの位置を見ていきます。


年     1位        2位       3位

2016年 キヤノン(63.3%) ニコン(31.6%) リコー(ペンタックス)(4.8%)

2015年 キヤノン(56.2%) ニコン(36.7%) リコー(ペンタックス)(6.7%)

2014年 キヤノン(54.7%) ニコン(39.1%) リコー(ペンタックス)(4.5%)

2013年 キヤノン(49.2%) ニコン(42.5%) リコー(ペンタックス)(5.2%)

2012年 キヤノン(52.7%) ニコン(35.1%) ソニー        (7.1%)

2011年 キヤノン(46.3%) ニコン(39.2%) リコー(ペンタックス)(7.5%)


説明するまでもない感じですね。このようにCANONキヤノンは、6年続けてシェア率1位に輝いているばかりか、2016年にはついに、2位のNikonニコンにさえダブルスコアの大差を付けてしまいました。複数のメーカーが入り混じる市場で63.3パーセントというのは、尋常でないほど高い数字です。


CANONキヤノンは開発の遅れたミラーレス一眼カメラでも、2016年はついに2位に!

さらに、ミラーレス一眼カメラ部門のシェア率とCANONキヤノンの順位を見てみましょう。


年     1位          2位         3位

2016年 オリンパス(26.8%)  キヤノン(18.5%)  ソニー(17.9%)

2015年 オリンパス(34.5%)  ソニー(18.5%)   キヤノン(17.9%)

2014年 ソニー  (34.3%)  オリンパス(18.5%) パナソニック(17.9%)

2013年 オリンパス(28.9%)  ソニー(26.5%)   パナソニック(14.2%)

2012年 オリンパス(29.8%)  パナソニック(23.3%)ソニー(20.1%)

2011年 オリンパス(36.6%)  パナソニック(29.3%)ソニー(27.3%)

2010年 パナソニック(38.7%) ソニー(32.2%)   オリンパス(29.1%)


2009年にミラーレス一眼カメラが発売されてからしばらく、CANONキヤノンとNikonニコンはミラーレス一眼カメラの開発を見送り続けました。そのためミラーレス一眼カメラのシェア率動向は一眼レフカメラとは大きく異なります。

マイクロフォーサーズの開発でミラーレス一眼カメラ市場を牽引したOLYMPUSオリンパスとPanasonicパナソニック、特に「PEN」シリーズで「カメラ女子」ブームを巻き起こしたOLYMPUSオリンパスの健闘が光ります。

しかしCANONは、2015年には第3位に、そして昨年2016年にはついに、ミラーレス一眼カメラの市場でもシェア率2位に躍り出ています!このランキングにも違った意味で、CANONキヤノンの強さが現れていますね。


コンデジは、シェア率の値は僅差だが、ずっとCANONキヤノンが1位をキープ!

さて、コンパクトデジカメ市場のシェア率とCANONキヤノンの順位は、どうなっているのでしょうか?


年     1位        2位       3位

2016年 キヤノン(27.3%) ニコン(22.1%) カシオ(19.3%)

2015年 キヤノン(30.5%) ニコン(21.0%) カシオ(14.8%)

2014年 キヤノン(28.7%) ニコン(15.3%) カシオ(15.2%)

2013年 キヤノン(20.0%) ニコン(15.5%) ソニー(15.4%)

2012年 キヤノン(17.6%) ソニー(16.5%) ニコン(14.1%)

2011年 キヤノン(16.9%) ソニー(15.1%) カシオ(13.9%)


コンパクトデジカメは参入メーカーが多いせいもあってか、一眼レフカメラ市場ほどの圧倒ではありませんが、それでもずっとCANONキヤノンがシェア率1位を保ち続けています。

カシオの3位健闘を意外に思う方がおられるかもしれませんが、カシオは安価なカメラを薄利多売する戦略をとっているので、「シェア率」でランキングをとるなら高い位置に付けるのです。CANONは逆に、最も単価が高いうえにシェア率でも1位になってしまうのですから、やはりその強さはすさまじい限りです。



2.CANONはカメラの性能もトップなの?

CANONキヤノンのカメラが、シェア率の面で圧倒的にトップであることはわかりました。するとやはり、カメラの性能・クオリティの面でもトップなのでしょうか?


性能は絶対的なものさしがあるわけでないので、一概に良し悪しを断言できませんが、しかしCANONカメラの性能がシェア率に比例するほどに圧倒的にトップかと問えば、そうとは言えないでしょう。


カメラ店のスタッフは、「無難だからCANONキヤノンを勧める」。

カメラ店のスタッフに話を聞いてみると、CANONキヤノンのカメラが最も高性能だと感じている人は少ないようです。しかし実際には、お客にはCANONキヤノンの機種を勧めることが多いのだとか・・・。なぜなのでしょう?理由は幾つかあります。


(1)性能面で優秀なPENTAXペンタックスは経営が安定しないので勧めにくい・・・。

販売スタッフの多くは、性能の面ではPENTAXペンタックスを評価しています。しかし、PENTAXペンタックスは5年ほど前にリコーに買収された経緯を持っており、今も経営が安定しているとは言えないので、うかつにお客さんに勧められないのだそうです。もしメーカーがつぶれてしまうと、アフターケアの場所がなくなってしまったり、レンズなどが発売されない、逆に今持っているレンズを活用したくても後継機種が発売されなくて宝の持ち腐れになる・・・といったリスクをはらむからです。

実際には、あまり心配は要りません。コニカミノルタのαシリーズをSONYソニーが引きついだように、大手カメラメーカーが経営破綻など起こしても、残るメーカーのいずれかがそれを引き継ぐでしょう。特にPENTAXペンタックスにおいては、カメラも開発陣も優秀なので、これを解散させようと考える買収先はほとんどないはずです。

しかし販売店としては、クレーム問題などもあるため、PENTAXペンタックスを勧めることに戸惑いを持ってしまうようです。


(2)お客さんが買いたがっているものの背中を押すのも、店員の役目。ライトユーザーはPENTAXペンタックスを知らない。

また、資本主義経済の著しい日本において、販売スタッフの役割は「商品の説明」だけでなく、「お客の購買意欲に背中を押す」ことも求められます。

あまりカメラに詳しくないお客さんは、どのカメラがオススメですか?とスタッフに尋ねておきながらも、自分が良さそうに思っている機種を挙げてもらいたい心理があります。つまり、有名で大人気のCANONキヤノンか、そうでなくてもNikonニコンあたりの名前が挙がるだろうと、大方の予測を決め込んでいるのです。そこでPENTAXペンタックスというあまり聞いたことのないメーカー名が挙がってしまうと、カメラにあまり詳しくないお客さんは戸惑ってしまうのです。「本当にこれで良いのだろうか?」と。

そのため販売店のスタッフというのは、心から勧めたい商品ではなく、売れ筋の商品、人気のメーカー、そのお客さんが好みそうな商品を、「オススメですよ」と挙げる傾向にあるのです。


玄人の好みはPENTAXペンタックス。だからシェア率3位をキープし続ける。

では次に、場合によっては販売スタッフよりもカメラに詳しい、カメラ玄人たちの意見はどうでしょうか?

ここでもやはり、「品質としてはPENTAXペンタックス」という声が多くみられるのです。

彼らの場合、その目利きのとおりにPENTAXペンタックスのカメラを買います。だからシェア率でも第3位というラインを根強くキープし続けているわけです。


プロは仕事上の都合でメーカーを選ぶ。昔ならNikonニコン。今はCANONキヤノン。

仕事でカメラを使う人は、「カメラそのもののプロ」と「写真の撮影を必要としている人」の2つに分かれます。後者は、会社の広報担当などですね。

いずれにせよこの層は、カメラのクオリティ以外の条件にも左右されて、カメラを選びます。

昔であれば、報道には実直な色味の出るNikonニコンが好まれていました。そしてその評判から、あまり写真の質にこだわらない人々も「とりあえずNikonニコン」となっていました。

近年の場合、業務用レンズを貸し出すサービスを行っていたり、初心者でも使いやすいといった観点から、プロにもCANONキヤノンが選ばれています。

しかし繰り返しますが、最も高性能だからCANONキヤノンを選んでいるわけではなく、「業務上都合が良いから」CANONキヤノンを選んでいるという側面が強いのです。もちろん、基礎的なニーズをしっかり果たすだけの性能をCANONキヤノンが誇っているから、選ばれるわけなのですが。


ライトユーザーがCANONキヤノンを選ぶ理由は、性能を評価してのものではない。

では最後に、ライトユーザーの動向です。ライトユーザーにカメラの性能を正確に評価するのはそもそも難しいのですが、しかし彼らの購入動向が、メーカーの地位や評判を大きく左右していることは無視できません。

ライトユーザーがCANONキヤノンのカメラを選ぶ理由は、大きく分けて3つあります。


(1)CMでよく知っているので、安心感がある。

1つ目は、「CMで見て良いカメラに思えた」「CMで見て有名なメーカーだと知っているから」といった動機。性能の良し悪しを吟味してCANONキヤノンを選んでいるというよりも、有名で安心できるものを購入しています。


(2)子供を撮りたいママさん層はCANONキヤノンを選ぶ。この層はCANONキヤノンをリピートしやすい。

2つ目は、CANONキヤノンのターゲット戦略に起因します。CANONキヤノンのカメラ、特に一眼レフカメラのEOS Kissシリーズは、「子供をキレイに撮れる」というコンセプトを長らく続けています。このコンセプトのカメラを欲しがるのは小さな子供を持つママさんで、つまりあまりカメラに詳しくはなく、またデジタル機器にもあまり詳しくない層なのです。すると、購入の背中を押すのは簡単で、しかもあまりデジタル機器に強くない層ゆえ、やがて一眼レフカメラを買い換えるときがくると、またCANONキヤノンを選んでくれるのです。

カメラは特に、「レンズの互換性」という問題があるので、一台目に買ったメーカーへのこだわりが強くなります。そのため「子供をキレイに撮れる」というコンセプトは、シェア率を稼ぎやすい戦略と言えます。


(3)プリンタ、スキャナ、コピー機、様々なところでCANONキヤノンは有名。

3つ目は、マルチ企業であることです。NikonニコンやPENTAXペンタックスは(大衆向けのものとしては)およそカメラしか作っていませんが、CANONキヤノンはプリンター、スキャナー、ビデオカメラ、企業コピー機なども手掛けており、そのぶん露出度が高くなり知名度も高くなります。それゆえ、お茶の間の認知度が高くなるのです。

日本は特に、ブランド力・ブランドイメージに左右されやすい消費傾向があるので、商品の性能よりもブランド力の高い企業が人気を得る傾向が強いですよね。CANONキヤノンもその一つなのです。


デジタル時代において、カメラ購入層の8割はライトユーザー。

ここ15年ほどで、カメラ市場の消費動向には大きな変化が起きています。以前、まだカメラがアナログだったころは、カメラとはやや敷居の高い趣味で、購入層はカメラに熱心な人々に限られていました。一眼レフカメラは特にそうです。しかし、デジタル化とカメラメーカーの戦略、低価格化によって、近年はあまりカメラに熱を持たない人もカメラを買うのです。つまり、今の時代においてカメラの購入層は、あまりカメラに詳しくない、あまりカメラの超高画質にこだわりのない、ライトユーザーが大半。およそ8割くらいはライトユーザー層と言えます。

すると、「高性能なカメラを作ること」よりも、「ライトユーザーになじみやすいカメラを作ること」のほうが、シェア率は稼げ、多くのカメラが売れるということなのです。


2-6.つまり、CANONキヤノンが強いのは、「販売戦略が上手い」から。

つまり、CANONキヤノンがどのような企業なのかと言えば、「販売戦略の上手い企業」と言えます。それゆえに高いシェア率を誇っているのです。

カメラ業界は特に、他の企業があまり商売上手・宣伝上手ではないため、CANONキヤノンが圧倒してしまいます。これがたとえばプリンタ業界になると、エプソンも販売戦略や宣伝が巧みな企業なので、CANONキヤノンとエプソンのシェア率は均衡しています。



3.私はどこのカメラを選べばいいの?

それでは話を総括していきましょう。CANONキヤノンのメーカーの特徴と、他メーカーの特徴やカメラ性能を考えたうえで、どのメーカーのカメラにどのような人が向いているか、という総論です。


無難さを求めるなら、CANONキヤノンでOK。

あなたにとって、下記のような考えが強いなら、カメラ選びはCANONキヤノンで間違っていません。


(1)細かい性能にはあまりこだわらない。

(2)有名なメーカーだと安心。

(3)みんなと同じメーカーがいい。

(4)価格は高くてもよい。


このような希望があるなら、あなたにとってはCANONキヤノンのカメラにメリットは多く、また性能としても充分です。CANONキヤノンは販売戦略が上手いだけでなく、カメラの性能も充分に一流なので、問題はありません。


高性能でコスパの良い一眼レフカメラが希望なら、PENTAXペンタックスが良い。

性能といっても機種それぞれに良し悪しがあり、また人それぞれに求める性能にも違いはあるでしょうが、ざっくりと言って、性能の総合力が最も高いメーカーは、一眼レフカメラにおいてはやはりPENTAXペンタックスです。特に下記のような条件を重視するなら、あなたはPENTAXペンタックスの一眼レフカメラが向いています。


(1)高画質なカメラが良い。

(2)小型・軽量な一眼レフカメラが良い。

(3)レンズも小型・軽量なものが良い。

(4)防塵・防滴仕様で壊れにくいカメラが良い。

(5)コストパフォーマンスを重視する。


性能の面でも特に、コンパクトさや堅牢さを求める人には、PENTAXペンタックスが最適です。特に壊れにくさの面では、かなりダントツですね。さらに、PENTAXペンタックスは価格が安めに抑えられているという特徴もあるので、安い予算で一眼レフが欲しいという人にも向いています。

PENTAXペンタックスの長所は多岐に渡るので、それを知らないことは本当にもったいないです。


スタイリッシュなミラーレス一眼カメラが欲しい人はOLYMPUSオリンパス。

ミラーレス一眼カメラは、メーカーによってかなり個性が出るので、やはりよく特徴を理解して選んだほうが良いです。


(1)コンパクトなサイズが良い。

(2)外観のオシャレさを重視する。

(3)インスタグラムやSNS映えの良いアーティスティックな画質を求める。

(4)人気のメーカーが良い。


このような条件を求めるなら、OLYMPUSオリンパスが向いています。中でも、宮崎あおいさんのCMでおなじみの「PEN」シリーズですね。CANONキヤノンより高性能かと言ったらそれはきわどいところですが、若者たちのニーズに合っているとは言えます。


高画質なミラーレス一眼が欲しい人は富士フィルム。

トピック1のシェア率ランキングには顔を出していませんが、ミラーレス一眼カメラが欲しい人は富士フィルムを無視してはなりません。


(1)画質に妥協したくない。

(2)わかりやすい操作性。

(3)レトロなデザイン。落ち着いたデザイン。


といった条件を求めるなら、富士フィルムが向いています。ミラーレス一眼カメラで高画質なカメラを求めるなら、絶対に富士フィルムはチェックしましょう。センサーサイズはもっぱらAPS-Cですが、35mmフルサイズセンサー並みの高画質なカメラを作っています。


高画質なコンパクトデジカメが欲しいなら、富士フィルム。

最後はコンパクトデジカメです。コンパクトデジカメの購入層はいよいよ、カメラのこともわからず画質比較もせずに選んでしてしまう超初心者層が多いと思われますが、やはり賢く選びましょう。


(1)高画質なカメラが良い。

(2)操作性が良くわかりやすい。

(3)鮮やかな色味が好き。

(4)レトロなデザイン。落ち着いたデザイン。


といった条件を求めるなら、富士フィルムのカメラが向いています。


安いコンパクトデジカメが欲しいなら、CASIOカシオ(EXILIMエクシリム)。

とにかく安価にコンパクトデジカメを手に入れたい、便利な機能が満載のスマートホンのようなカメラが欲しい、という場合は、CASIOカシオが向いています。EXILIMエクシリムというのはCASIOカシオが出しているブランドです。


(1)1万円台で買えるような安いカメラを求めている。

(2)若者向けの便利機能・オモシロ機能の多いカメラが良い。

(3)細かい画質にはあまりこだわらない。

(4)カラフルなカメラが良い。


このような条件を求めるなら、CASIOカシオのEXILIMエクシリムをチェックしましょう。主に学生さんや若者が該当するでしょうか。



いかがでしたか?

決して、CANONキヤノンのカメラが低品質というわけではないのです。ただ、市場を独占するほど高品質なわけでもないということなんですね。

日本はカメラメーカーのレベルがすこぶる高く、魅力的なカメラがたくさんあるので、テレビCMの印象だけでなんとなくCANONキヤノンのカメラを選んでしまうというのは、もったいない話です。

「画質」にこだわるなら、特にPENTAXペンタックスと富士フィルムに注目してみてください。コストパフォーマンスという点でもこの2社は優秀です。

各カメラメーカーの特徴が頭の中でイメージできるようになると、カメラの趣味はいっそう楽しくなりますよ。

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